ソフトマター(柔らかい凝縮物質)は、 日常広く使われているゼラチン、コンタクトレンズの素材、 梱包材からディスプレイ画面の表示体、塗料や水質改良剤など、 高分子、ゲル、液晶、コロイドなどの総称です。 ここでは電気を帯びていて静電気力により構造や機能が強く影響される 「イオン性ソフトマター」に関する研究を紹介します。
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この物質では、静電気エネルギーが大きいため、 正イオンは負イオンとペアをつくり、構造が作られます。 (上図: 電荷逆転したマクロイオン,Euro.Phys.J., E (2002)より).
イオン性ソフトマターは適当な硬さと柔らかさをあわせもっており、 工業応用、DNAやたんぱく質など生化学過程は、 この硬軟両性を上手に利用して常温で高効率のエネルギー代謝や 構造の維持を行っています。 図に示した「電荷逆転」現象は遺伝子治療に応用が期待されています
分子、結晶やソフトマターについて、 原子サイズ(1億分の1cm程度)でのミクロな構造や それに伴う機能の因果関係を探るため、 量子力学を用いて原子内部の電子状態を記述する方程式を用いた 計算機シミュレーション法です。 つまり、原子と電子のレベルまで下りるので 「第一原理 (ab initio)」分子動力学法 (First Principle Molecular Dynamics) と呼ばれ、化学反応や原子レベルの物質の研究に広く使われています。
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我々はこの第一原理分子動力学法を、 核融合で大切なプラズマと接する物質内での原子移動などの 研究に応用するためコード整備を進めています(善甫康成氏と共同研究)。 この研究では、輸送係数などのマクロな仮定を排して ミクロな視点からの研究が可能となります。
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