電子捕獲過程

低速イオン−原子衝突で最も支配的な過程は,入射イオンによる標的原子からの(多)電子捕獲過程です。速度が標的電子の軌道速度より十分小さい低速イオン(vi≪ve〜1 au)が原子と衝突すると,標的電子はイオンのポテンシャルに引きずり込まれて最終的にある確率をもって入射イオンへ捕獲されます。この断面積は大雑把に言って10-14〜10-13 cm2と,他の原子過程の断面積と比べても非常に大きいものです。また,捕獲された電子は生成イオンのある特定の高励起準位に選択的に捕獲されるのも大きな特徴の一つです。 この電子捕獲過程の様子を以下に模式的に示します。


多価イオンによる原子からの電子捕獲
1. 先ず,イオン(赤)が標的原子(青)にゆっくりと近付いてきます。
2. イオンと標的原子の核間距離Rが最も近付いたあたりで標的電子(水色)のうちのいくつかは入射イオンと標的原子両方を核として,いわゆる分子型の軌道を形成します。
3. 分子軌道を形成した電子のうちのいくつかはある確率をもって入射イオンの方へ乗り移ります。原子に残った電子の軌道は遮蔽効果によって縮みます。
4. 最終的に標的電子は入射イオンのある特定の高励起状態へ捕獲されました。

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